敷金とは、賃借人(借主・借り手)の賃貸借契約における債務の担保のために賃貸人(貸主・貸し手)に渡される金銭のことをいいます。
敷金は、借主から見たら、貸主に長期間お金を預けていることになります。貸主は預かった敷金を運用して利殖する(財産を増やす)ことができます。だから、借主のなかには、敷金に対する利息を受け取ることができる、と考える人もいるかもしれません。
ここからは、借主は敷金に対する利息(利子)を受け取ることができるのかどうか、説明していきます。
賃貸借契約書に利息に関する取り決めがある場合
賃貸借契約書に敷金の利息に関して取り決め(約定)がある場合、原則としてその取り決めに従います。
なお、建物や貸室の賃貸借契約書には、敷金に利息を付けない旨が書いてあることが通常です。
賃貸借契約書に利息に関する取り決めがない場合
結論を先に言うと、賃貸借契約書に利息に関する取り決め(約定)がない場合は、敷金に利息は付きません。
法律的な根拠は次の通りです。
それでは、民法では、金銭を貸し付けた場合に利息は当然に発生すると定めているのでしょうか。貸付金について規定している民法第587条では、金銭消費貸借契約の場合は、借主が金銭を返還することを約束して貸主から金銭を受け取ることにより効力を生ずると定めています。要するに、金銭を貸し付ける場合であっても、利息を付することは金銭消費貸借契約の成立要件とはされていないのです。利息についての定めがないということは、利息の約束がない以上はお金を貸し付けても利息はつかないということを意味しています。
貸付金についてすら、利息の約定がない限りは利息は付かないとされているのです。敷金や保証金は賃借人の債務の担保として預かる金銭であり、法律上利息をつけるという定めはありませんので、賃貸借契約で利息の定めを付していない限り、無利息ということになります。
要するに、法律上「貸付金や敷金に利息を付けなければならない」という規定はないため、利息の約定がない限り敷金に利息(利子)は付かない、と解されます。
貸主・借主の立場ですべきこと
あなたが建物や貸室の貸主(大家)の立場だったら、借主とのトラブルを避けるために、賃貸借契約を結ぶ前に、契約書に「敷金に利息を付けない」旨の条文があるかどうか、確認するべきです。
あなたが建物や貸室の借主(店子)の立場の場合は、賃貸借契約書に敷金の利息に関する条文がないことを発見したとしても、利息を請求することは難しいことを覚えておきましょう。